敦賀・若狭 グルメコラム

敦賀と美浜、本格的な冬へ向かう季節に、日本海からの贅沢な贈り物

小春日和ながら冷たい風が吹く冬の始まり。敦賀駅前から若狭方面へ向かうと、旬の味を提供するお店に出会うことができます。地元で長く愛される2店を訪ね、冬の味覚を思う存分味わいます。

敦賀市 まるさん屋

 敦賀市 まるさん屋の外観

敦賀市 まるさん屋の外観

「美味しいもの」以外は出したくない。豪快かつ繊細な料理に対するこだわり

JR敦賀駅から徒歩3分。お店の駐車場には県外ナンバーの車も多く、福井の冬の味覚を求め、多くの方が遠くからわざわざ足を運んでこられた様子が伺えます。店内に入るとお料理を頬張るたくさんの笑顔が溢れます。
まるさん屋のメニュー:冬御膳

まるさん屋のメニュー:冬御膳

さっそく、冬の若狭湾の味覚を余すところなく堪能できる「冬御膳」をオーダー。ぶりと甘えびのお刺身、若狭ふぐのてっさと唐揚げ、かに鍋、茹でがに、かに釜めしなど、まさに冬の味覚のオールスターといった豪華な御膳が並びました。これらに、かに刺し・しゃぶしゃぶも楽しめるズワイガニの脚が4脚ついたものが「冬御膳(上)」になります。
てっさイメージ

てっさイメージ

淡泊ながらやさしい甘味を感じるてっさはお店の自家製塩ポン酢で。脂が乗った分厚いぶりを頬張るとその旨みに言葉もありません。そしてかに脚はしゃぶしゃぶしたら豪快に一口でいただきます。次々といろんな美味しさが口の中に広がり、まさに至福の時。
氷の上に盛り付けられた新鮮な越前がにの蟹刺しと蟹味噌

越前がにの蟹刺しと蟹味噌

「この時期はやはり越前がにと寒ぶり、そして若狭ふぐを求めて来店される方が多いですね。」とまるさん屋社長の藤江さん。お料理へのこだわりについて伺いました。「まずは鮮度感。その日獲れたもの、新鮮なものをすぐに調理し、すぐにお客様に提供する、というのがこだわりです。」
越前がにの蟹刺しを味噌しゃぶにしている様子

味噌しゃぶ

そのこだわりどおり、鮮度抜群の越前がにを100%堪能するなら、「味噌しゃぶ」がおすすめ、と藤江さん。かに味噌が詰まったままの甲羅を網に乗せ、ぐつぐつしてきたところにかにを投入し、しゃぶしゃぶ…。冬の味覚の王者、越前がにの旨さを五感で感じることができるはず。
まるさん屋の社長が笑顔で立っている様子

まるさん屋社長の藤江さん

まるさん屋では冬の季節はもちろん、四季を通じて旬の福井の旨いもんを提供しています。「美味しい物以外はお店に出したくないんです。福井産のそば粉を石臼で挽いた十割そばや一匹丸ごと直火焼きした浜焼き鯖、ソースカツ丼など、海産物を含め福井ならではの味をぜひたくさんの方に食べてほしい。」
福井の食に対する熱い想いと鮮度へのこだわりが、「旨さ」に繋がっていると実感しました。
店名 まるさん屋 敦賀駅前
住所 福井県敦賀市白銀町6-41
電話番号 0770-22-4528
サイトURL https://zabassa.co.jp/marusanya/

美浜町 味一休

美浜町 味一休の外観

美浜町 味一休の外観

4代目が受け継ぐ味と満足感。一品一品のお料理と共に、五感で感じる旬。

舞若道を避け、せかせかした喧騒とは別世界の27号線を小浜方面へ。初冬の冷たい風を切りながら車を走らせると、昔ながらの立派な日本家屋を思わせる建物が見えてきます。のれんには「味真心 一休」の文字が。
美浜町 味一休の内装

美浜町 味一休の内装

のれんをくぐると、若女将が笑顔で迎えてくれます。案内されたのはテーブルと椅子がセッティングされた和室のお部屋。床の間には掛軸と生け花が飾られ、窓から庭園が望めるなど、純和風のしつらえが心を躍らせます。
脂がのった寒ブリの刺身を皿に盛り付けた料理写真

寒ぶりのお刺身

こちらで頂くのは、冬の日本海の荒波で身が締まった「寒ぶり」!美浜町の若狭湾に面した漁師町「日向(ひるが)」では県下最大の寒ぶり漁がおこなわれ、ここで水揚げされるぶりは特別に「ひるが寒ぶり」と呼ばれているそう。「昨年は豊漁で、今年は本数はまだまだですが、質がいいものがあがってきています。脂が乗って最高に美味しいですよ。」と店主の廣瀬さん。
味一休の寒ぶりコースの写真

味一休の寒ぶりコース

脂ののった寒ぶりをぶりしゃぶする様子

寒ぶりしゃぶ

さっそくぶりをいろんなお料理で堪能できる「寒ぶりコース」を頂きました。お刺身、塩焼き、ぶりしゃぶ、あらの煮つけ…。どれも身が厚く、口に入れると濃厚で良質な脂がじわり…。思わず声がでるほどの美味しさ!そしてその美味しさもさることながら、一品一品のお料理の皿が大きく、量も多いことに気づきます。廣瀬さんに尋ねてみると、「それには初代から先々代、先代…と受け継がれてきた思いが込められています。初代はもともと漁師で、地元で獲れた食材を地元の方に美味しく、腹いっぱい食べてもらいたくて、このお店を作ったそうです。だから一皿の量が多め。初代から受け継いでいるその思いをお料理一品一品に込めて、お出ししています。」と話してくれました。
味一休4代目と奥様の二人が並んで笑顔で立っている様子

味一休4代目と奥様

厨房は4代目である廣瀬健一朗さん、ホールや接客は奥様の悠希さんが主に担当。結婚10年目で3人のお子さんにも恵まれています。「結婚してからの10年、出産や育児もありあっという間の月日でした。昭和37年から続くこのお店の伝統を大切に、一生懸命このお店を守っていきたいです。」と悠希さん。美浜の名店には、代々受け継いだ味と思いを繋いでいく、仲睦まじい若夫婦の決心がありました。
店名 味一休
住所 福井県三方郡美浜町久々子80-3
電話番号 0770-32-0152
サイトURL https://www.aji-ikyu.com/
「冬の日本海に磨かれた味を、新鮮なままお客様に届けたい。」そんな料理人ならではの熱い想いがつむぐ、冬の一皿。地元の方にもぜひ食していただきたい美味しさでした。
次回は、若狭町とおおい町で「うなぎとジビエ」の味を訪ねます。