福井の冬の風物詩「若狭丁稚ようかん」とは?特徴や購入できるお店を紹介
福井の若狭丁稚ようかんは別名「水ようかん」とも呼ばれ、昔から庶民に親しまれてきた福井県の冬の風物詩です。本記事では、丁稚ようかんの名前の由来、福井とその他の地域での特徴、さらに購入できるおすすめのお店を紹介します。福井を訪れる際のお土産や、冬ならではの美味しさを楽しむ際の参考にしてみてください。
丁稚ようかんとは
丁稚ようかんとは「丁稚奉公」からその名が付いた和菓子のこと。一般的な煉り羊羹に比べ安価で庶民にも入手しやすいのが魅力です。丁稚ようかんの名前の由来や地域による特徴、手作りレシピを紹介します。
「丁稚奉公」が名前の由来の和菓子
丁稚ようかんとは、小豆と砂糖でできたあんに寒天もしくは小麦粉(上新粉)を入れて作られる和菓子のことです。名前の由来は以下のように諸説ありますが、商家に奉公する子ども(丁稚)が関係している説が濃厚です。
- 安価なので、丁稚が奉公先から里帰りする際にお土産に持ち帰ったという説
- 練り羊羹を作った後に残ったものに、水を混ぜて作ったものを丁稚が食べていたからという説
- 練り羊羹と比べると、煮詰めが足りずに丁稚のように半人前だからという説
- 作る工程で小豆のあんと小麦粉などを「練り合わせる」ことを「でっちる」ということからという説 など
別名「水ようかん」とも呼ばれる冬の風物詩
福井の若狭丁稚ようかんは、別名「水ようかん」とも呼ばれ、冬の風物詩として親しまれています。多くの若狭丁稚ようかんは添加物未使用で、原料は小豆、寒天、砂糖(主に白砂糖)のみです。
なお福井県の「木ノ芽峠」を堺に北側を嶺北地方、南側を嶺南地方(敦賀・若狭エリア)と言います。嶺北地方では黒砂糖を使うところもあり、こちらは主に「水ようかん」と呼ばれます。
なお福井県の「木ノ芽峠」を堺に北側を嶺北地方、南側を嶺南地方(敦賀・若狭エリア)と言います。嶺北地方では黒砂糖を使うところもあり、こちらは主に「水ようかん」と呼ばれます。
いずれも一般的な水ようかんより、寒天の量や甘みを抑えていて、水分たっぷりでやわらかいのが特徴。小豆や砂糖の量が少ない分すっきりとした味わいで、値段も安く庶民的です。
一般的な水ようかんは夏に冷やして味わうイメージですが、福井の丁稚ようかん(水ようかん)は糖度が低いので保存が効きません。そのため気温が低い冬場が旬になったそうです。
地域による違い
丁稚ようかんは西日本の主に近畿地方にもありますが、地域によって作り方や味が異なります。福井県以外にも、滋賀県の『丁稚羊羹』や大阪府の『丁稚ようかん』があり、農林水産省の『うちの郷土料理』でそれぞれ紹介されています。
滋賀県
小豆、砂糖で作ったあんに小麦粉(または上新粉)を混ぜ、水で湿らせた竹の皮で包んで蒸して作られます。「蒸し羊羹」とも呼ばれ、竹の皮のほんのりとした香りと粉由来のもちもちとした触感が特徴です。丁稚ようかんは近江発祥といわれていて、滋賀県の特産品『丁稚羊羹』は、平成10年(1998年)に滋賀県選択無形民俗文化財「滋賀の食文化財」に選ばれました。
小豆、砂糖で作ったあんに小麦粉(または上新粉)を混ぜ、水で湿らせた竹の皮で包んで蒸して作られます。「蒸し羊羹」とも呼ばれ、竹の皮のほんのりとした香りと粉由来のもちもちとした触感が特徴です。丁稚ようかんは近江発祥といわれていて、滋賀県の特産品『丁稚羊羹』は、平成10年(1998年)に滋賀県選択無形民俗文化財「滋賀の食文化財」に選ばれました。
大阪府・北摂地域
こちらの地域の丁稚ようかんは、北摂地域の特産である寒天が使われています。かつて高価だった砂糖の使用量は少なく、寒天を使って甘さ控えめのあっさりとした素朴な味わいなのが特徴です。そのほか河内地域で作られる丁稚ようかんは、寒天ではなく小麦粉を使って蒸して作るため、食感が異なります。
こちらの地域の丁稚ようかんは、北摂地域の特産である寒天が使われています。かつて高価だった砂糖の使用量は少なく、寒天を使って甘さ控えめのあっさりとした素朴な味わいなのが特徴です。そのほか河内地域で作られる丁稚ようかんは、寒天ではなく小麦粉を使って蒸して作るため、食感が異なります。
若狭丁稚ようかんの簡単レシピ
若狭丁稚ようかんの材料はスーパーなどで手軽に入手できるので、手作りすることもできます。以下で基本のレシピを紹介します。
<材料>
- こしあん 150g
- 白砂糖 230g ※市販のこしあんを使う場合は砂糖を減らす
- 塩 ひとつまみ
- 寒天 8g
- 水 1000~1100ml
<作り方>
- 鍋に寒天を入れ、水に浸してふやかす
- 寒天が溶けたら弱火にし、砂糖を入れて溶かす
- 砂糖が溶けたらこしあんを入れる
- なめらかで艶のある状態になるまで混ぜ、最後に塩を加えてひと煮たちさせる
- 火から下して粗熱をとり、バットに流し入れて冷蔵庫で冷やし固めて完成
【嶺南エリア】若狭丁稚ようかんや水ようかんが購入できるお店
手作りできるとはいえ、やはり名店の味を堪能してみたいですよね。若狭丁稚ようかんや水ようかんが購入できる嶺南地区のお店をピックアップしますので、それぞれのお店の味わいを食べ比べてみてはいかがでしょうか。
二百年を超える老舗菓子店「株式会社志保重 西津店」
文化三年(1806年)創業の老舗和菓子店。まろやかで 口当たりが良い若狭の湧水「雲城水」や、北海道あずきなどこだわりの材料、旬の果物を使った和菓子、洋菓子を作っています。
志保重の「でっちようかん」は昔ながらのしっかりとした味のあんで作られています。分厚くて、食べ応え抜群でありながら、黒砂糖不使用のためさっぱりとした味わいを楽しめます。寒天で固めているので体にヘルシーなのも嬉しい魅力です。
住所 | 〒917-0096 福井県小浜市雲浜1-8 |
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電話番号 | 0770-52-0599 |
営業時間 | 9:00~18:00 |
定休日 | なし ※詳細は事前にご確認ください。
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参考サイト | 株式会社志保重 |
2024年11月30日(土)・12月1日(日)の両日には、小浜市まちの駅で「でっちようかん祭り」が開催されます。
志保重をはじめとする、小浜市菓子業組合に加盟する菓子店6~7店が同じパッケージで、それぞれ自慢の丁稚ようかんを出品。購入して丁稚ようかんの食べ比べができるイベントです。
志保重をはじめとする、小浜市菓子業組合に加盟する菓子店6~7店が同じパッケージで、それぞれ自慢の丁稚ようかんを出品。購入して丁稚ようかんの食べ比べができるイベントです。
酒まんじゅうと丁稚ようかんが自慢「菓子司 木屋傳」
創業明治元年から150年以上続いている老舗菓子屋の菓子司 木屋傳は、美しく繊細な練り切りなどの和菓子から、和洋菓子までを販売しています。特に酒まんじゅうと丁稚ようかんが自慢です。
「でっちようかん」は白砂糖、小豆、寒天を使用していて、さっぱりとした味わいでぺろりと食べられるおいしさ。店内には以前に使用されていた、年代物のお菓子の木型を展示しています。
住所 | 〒917-0069 福井県小浜市小浜白鬚42 |
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電話番号 | 0770-52-0565 |
営業時間 | 9:00~18:00 |
定休日 | 水曜日 ※詳細は事前にご確認ください。
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参考サイト | 菓子司 木屋傳 |
名水雲城水を使った和菓子を提供「伊勢屋」
天保元年(1830年)創業の「水が菓子作りの原点」をモットーとした老舗和菓子屋。「雲城水」を使用した和菓子を提供しています。「雲城水」とは、小浜市の雲城公園の自噴井戸からくみ上げられた水のことで、平成の名水100選に選ばれました。
伝統銘菓として、夏は「くずまんじゅう」、冬は「丁稚ようかん」を期間限定で提供しています。北海道産の小豆を使ったあんは、色合いも味わいもまろやかでやわらかく、素直な甘さが左党からの支持も高く人気です。店内にはイートインスペースもあるので、ゆっくりと伝統銘菓を味わってみてはいかがでしょうか。
住所 | 〒917-0071 福井県小浜市一番町1-6 |
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電話番号 | 0770-52-0766 |
営業時間 | 8:30~17:30 |
定休日 | 水曜日 ※詳細は事前にご確認ください。
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参考サイト | 伊勢屋 |
季節感溢れるお菓子を提供「御菓子処大次郎」
創業明治38年の御菓子処で、4代にわたって厳選した材料で、季節にあわせた和菓子を作っています。代表銘菓「六方焼」の他、春はさくら餅、夏は葛まんじゅう、秋はくり餅など四季折々の和菓子を堪能できます。
丁稚ようかんは冬の季節のみの販売です。砂糖控えめでやわらかく炊き上げることで、風味豊かな雅小豆の味が引き立っています。
住所 | 〒919-2384 福井県大飯郡高浜町青11-17 |
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電話番号 | 0770‐72-0308 |
営業時間 | 7:30〜18:00 |
定休日 | 水曜日 ※詳細は事前にご確認ください。
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参考サイト | 御菓子処大次郎 |
敦賀駅初のお土産処「おみやげ処 敦賀かわと」
昭和11年(1936年)創業されたお土産処です。当初は敦賀銘菓「豆らくがん」の製造元として敦賀駅前に出店。第二次世界大戦後、駅前の立地を生かしてお土産処へと生まれ変わりました。福井県各地の銘菓から若狭の名産「鯖へしこ」や地酒までを販売しています。
11月から2月までの冬季限定で「水ようかん」を販売しています。敦賀かわとの「水ようかん」は、やさしい黒糖の甘さとつるりとした食感が魅力です。
住所 | 〒914-0054 福井県敦賀市白銀町4-5 |
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電話番号 | 0770-22-4102 |
営業時間 | 8:30~19:30 |
定休日 | 不定休 ※詳細は事前にご確認ください。
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参考サイト | おみやげ処 敦賀かわと |
和菓子から洋菓子まで豊富な種類を提供「銘菓処 笑福堂」
銘菓処 笑福堂は、福井銘菓「羽二重餅」、敦賀の伝統銘菓「豆らくがん」などの和菓子から、「釜出しカステラ」、北海道産マスカルポーネチーズ使用の「レアチーズロールケーキ」などの洋菓子まで豊富な種類を製造・販売している店。福井県産のもち米や卵など、特産品を使っているのが特徴です。「きなこ羽二重餅」が内閣府特命担当大臣賞を受賞しているのを始め、複数のお菓子で多くの賞を受賞しています。
笑福堂の「水ようかん」は第23回菓子大博覧会 栄誉大賞受賞品で、昔ながらの製法そのままの、国産寒天100%使用、無添加無着色の商品です。黒糖のあっさりとした甘さと、とろけるようなこしあんの食感が人気のヒミツです。
住所 | 〒914-0812 福井県敦賀市昭和町2-21-31 |
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電話番号 | 0770-22-4747 |
営業時間 | 月~木曜日 11:00~19:00 金曜日 11:00~20:00
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定休日 | 土~日曜日・祝日 ※詳細は事前にご確認ください。
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参考サイト | 銘菓処 笑福堂 |
若狭丁稚ようかん、水ようかんを味わおう
福井県で親しまれている若狭丁稚ようかんや水ようかんは、やさしい甘さで水分をたっぷり含んだすっきりとした食感が特徴のお菓子です。冬の名物として親しまれ、さまざまなお店で販売されています。お店によってあんの甘さや砂糖の種類、配合、固さもいろいろ。お店それぞれの特徴をチェックして、お気に入りの丁稚ようかんや水ようかんを見つけてみませんか。
全国初の日本遺産「プレミアム」に選定!さまざまな文化も堪能して
2024年7月、鯖街道を中心とする小浜市と若狭町の日本遺産「海と都をつなぐ若狭の往来文化遺産群~御食国(みけつくに)若狭と鯖街道~」が、文化庁に「特別重点支援地域(日本遺産プレミアム)」に全国で初めて選定されました。
海の幸・山の幸に恵まれる若狭は、古代から朝廷の食文化を支えてきた御食国(みけつくに)。1500年以上、若狭から京都まで海産物を運んできた道は「鯖街道」と呼ばれるようになり、さまざまな文化が往来した歴史があります。若狭と京都を結ぶ鯖街道沿いには熊川宿や社寺、建物、祭りなどの文化財もあるので、ぜひゆっくり敦賀・若狭を訪れてみてください。
※掲載されている情報は2024年10月時点のものです。掲載情報は予告なく変更になる場合があります。